ホームズ(Holmes)彗星は公転周期6.9年の短周期彗星ですが、2007年10月24日にそれまで17等級であった明るさが、突如2等台まで大増光し、裸眼でも観察可能となりました。およそ14等以上増光したことになります。等級が1等明るくなると実際の明るさは2.51倍になりますので、14等の増光は、増光前のなんと40万倍も明るくなった事になります。まるで超新星ですね。
撮影日記: 2008年3月8日
2月は天候に恵まれず、2ヶ月ぶりの撮影でした。
ここのところ、ホームズ彗星は、ペルセウス座のカリフォルニア星雲に接近しています。
ひところに比べ、ホームズ彗星もだいぶ沈む時間が早くなってきました。その為、早めに家を出たのですが、途中で重要なものを忘れたことに気付き、Uターンして家に戻りました(何を忘れたかは恥ずかしいので割愛)。結局撮影開始は9時近くになりました。かなり西に傾いたせいで、宇都宮方面の光害がかぶってしまい、また黄砂の影響も加わってあまりコントラストが出ませんでした。
それにしてもこの日は花粉の飛散が激しく、一晩いたお陰で一挙に花粉症が悪化しました。
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撮影日記:2008年1月3日
街中では確認が難しくなりましたが、光害の無い暗い場所ではまだ楽に裸眼で確認できます。1892年に発見された際には2度のバーストを起こしたと言いますが、果たして今度は2度(以上)のバーストはあるでしょうか。今回は天城高原にて撮影しましたが、この場所は標高があり、また南の空が暗いため、夏の天の川の撮影には良く行く場所です。さすがにこの時期は寒く、気温は-8度でした。お陰でデジカメのヒートノイズも抑えられています。まだ雪は積もっていませんでしたが、積雪には注意が必要な場所です。
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観望日記(番外編):2007.12.14
私の地元つくばには、つくば湯〜ワールドというスーパー銭湯(?)があります。11月からは「天然温泉」になったらしいので、早速行ってみました。ここの屋上には水着着用の露天風呂があるのですが、別料金で水着を借りるのもバカらしく、今まで行った事がありませんでした。この日は天気も良かったので、もしかしたら露天風呂からホームズ彗星が見えないだろうかと思い、水着をレンタルして行ってみる事にしました。屋上に着くと、客は誰もいません。全くの貸しきり状態です。湯船は温泉のものが1つと、非温泉のが2つあります。迷わず温泉の湯船に浸かり空を見上げます。照明がかなり明るく、観望には適した場所ではありませんが、幸い空が澄んでいるので星は良く見えます。この日はふたご座流星群の極大日で、ふたご群起源の流星が2つほど流れるのを見ました。さすがに拡散したホームズ彗星を見つけるのは容易ではありませんでした。湯煙の間から数回見えたような気がしました。位置的には間違いないので、たぶん見えたのでしょう。それにしても露天風呂から彗星を見たのはこれがはじめてです。願わくばもっと風情のある露天風呂で見たかった…。多分ヘールボップ彗星の時も見えたでしょうが、露天風呂から観望するなどとは思い付きもしませんでした。歳をとったのでしょうか(笑) ところで、湯〜ワールドの温泉は「ナトリウム・カルシウム-塩化物強塩温泉」だそうで、なめてみると強烈に塩辛い温泉です。
撮影日記:2007.11.17
これまでVC200Lでコマの微細構造を狙っていましたが、この日から鏡筒をいつもの「2筒流」に変えての撮影です。
実は今までオートガイドの調子が悪く、ガイドが失敗する事が多々あったのですが、9月頃より、赤道儀モーターのXマイナスが全く制御できなくなりました。これまでは彗星本体が明るかったので、ノータッチガイドで撮影できていましたが、これからはそうもいかないので、本格的に原因を調査する事にしました。一番疑わしいのはケーブルです。ところがテスターで導通をみてみても断はないようです。そこで、誠報社時代にお世話になった宮崎氏が店長をしている「趣味人(シュミット)」に持ち込んで原因を調べてもらうことにしました。やはり最初はケーブルを疑い、導通を調べてみます。そこはさすがに専門店だけあって、導通を調べるツールも完備しています。しかし、やはりケーブルに断は無いようです。オートガイダー端子での赤道儀の制御も問題ありませんでした。と言う事で、消去法にて原因は冷却CCDという事になりました。販売店の国際光器に連絡を入れて修理依頼をします。その前に、「消去法」という間接証拠だけで送るのも気が引けたので、実際に制御ソフトでXマイナスを動かしながら、導通を調べてみました。すると、不思議な事に問題なく制御できているようです。もう一度冷却CCDと赤道儀を接続して動かしてみます。やはり動作しません。これには悩みました。何度もケーブルの導通を確認しているうち、今まで導通があった問題の端子の導通が無くなっている事に気付きました。結局、ケーブルに「捻り」が加わり、コネクタにかかるトルクがある大きさ以上になると導通が無くなる事が判りました。赤道儀のコネクタはピンの向きが決まっているため、必ずと言って良い程捻って差し込みます。その為、赤道儀に接続するといつも制御が出来なくなっていたのです。趣味人さんには新しいオートガイダーケーブルを送ってもらい、この日の撮影に臨みました。今までの不調が嘘のように快調にオートガイドが出来ました。
この日から数日間、ホームズ彗星はペルセウス座α星(アルゲニブ)のすぐそばを通過しました。右下に輝く明るい星がそれです。本体のほうは満月大に拡散し、光害のある場所では裸眼での発見が難しくなってきました。なお、この夜はしし座流星群の極大日でした。撮影しながら眺めていましたが、しし群と思われる流星は全部で10個ほど流れるのを見ました。しし群流星とホームズ彗星のツーショットを狙って固定撮影で何枚か撮影しましたが、残念ながら願いはかないませんでした。他の収穫は、今期初めてカノープスを見れた事でしょうか。撮影場所の十国峠公園駐車場は、低空視界が良くないので、奇跡と言って良い程です。
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撮影日記:2007.11.3
いよいよVisacの視野には収まらなくなる日も近いようです。すでに淡い部分は視野をはみ出しています。南西方向のダストのエッジが不明瞭になってきており、少し彗星らしくなってきたように見えます。やっと月の影響を受けないで撮影が出来るようになりましたが、撮影可能な時間が沢山取れるため、処理をするのが大変です(嬉しい悲鳴)。
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モノクロ画像 |
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上の画像の擬似カラー |
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10月28日と11月3日の画像比較(同一倍率) |
撮影日記::2007.10.29
今日は霧が出ているようで、空が潤んでいました。彗星は双眼鏡で観望しました。今日もまだ裸眼で十分観察可能です。
28日撮影の画像を差し替えました。が、結局あまり変わらない仕上がりになりました。望遠鏡で見ると黄色い色に見えるホームズ彗星ですが、写真上では白色です。これはある意味当たり前の事で、カメラでは太陽光の薄黄色い光が白色に写るよう、ホワイトバランスが調整されているためです。人間の目も昼間は太陽の光に無意識のうちにホワイトバランスを合わせているので、黄色い色を感じなくなっています。というか、カメラが人間の目の真似をしているわけですが。月が薄黄色いと言われるのも同じ理由です。余談ですが、薄黄色い月に照らされた夜の風景が青白く見えるのはプルキニエ効果と言って、人間の目は弱い光を青っぽく見る性質があるそうです。
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下: トーンカーブ修正前の擬似カラー画像 |
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撮影日記(10月28日):
この日は日中はとても良い天気でしたが、日没後〜20時30分頃まで曇っていました。
25日に比べ、一段とコマが大きくなっています。最初に双眼鏡で見た時は、一瞬巨大な球状星団かと思いました。相変わらず裸眼ではっきりと確認する事ができ、依然としてδPer(3.0等)より明るいようです。しかし、一体どこまで大きくなるのやら。擬似カラー画像では、なにやらジェットのような構造が確認できます。
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撮影日記:
この日は、天気予報で夜から雨が降ると言われていて、ポイント予報でも21時から雨になっていました。しかし、この日以降は天気の回復が遅れそうな感じだったので出かけてみる事にしました。ほぼ曇ってはいましたが、時折切れめが通り過ぎて、目的のホームズ彗星もなんとか撮影する事ができました。最初に見たときの感想は「こんなに大きいの?」でした。事前情報では「恒星状」と言われていたので、かなり倍率を上げないとわからないだろうと思っていましたが、双眼鏡でも円盤状に見たのには驚きました。δPer(3.0等)よりはかなり明るく、αPer(1.8等)よりは若干暗く見えました。2等台中ほどと思われます。