最近どこもサンゴが白化してしまって、奇麗なサンゴの写真を撮ることが難しくなってしまった。 沖縄しかり、モルジブしかり、である。その時、「トラック諸島のサンゴ礁は影響を受けていない」という情報を耳にした。トラック諸島は沈船で有名な島であるが、サンゴ礁もかつてのモルジブに優るとも劣らない美しさを誇る場所である。以前にもトラック行きを考えたことはあったのだが、日数的、曜日的に折り合いが付かず、断念した経験がある。それはなぜかというと、コンチネンタル・ミクロネシア航空の運行スケジュールの悪さにある。トラックに向かう飛行機はグアムから出ているのだが、1日おきにしかなく、しかもグアムを立つ時間が早朝のため、日本から来てその日のうちに乗り継ぎをするのが不可能なのである。最もトランジットの時間が少ないのは、夜の8時頃日本を出て1時頃(現地時間)にグアムに到着する便に乗ることだが、これでも8時間の待ち時間がある。搭乗待合室の椅子は、肘掛けなどが付いていて、寝るのには誠に都合が悪い。空港が新しくなるまでは、お金を払ってラウンジを利用できたのだが、今では会員専用となってしまった。噂では、グアムから他の島に客が流れないように、わざとやっているという話もある。ともあれ、グアムでの長時間の乗り継ぎ時間は覚悟しなくてはならない。行きのグアム便はキャンセル待ちになってしまい、結局この夜便に乗るはめになってしまった。なお、グアムからの所用時間は約1時間半である。

ここで少しトラック諸島の事を紹介しておこう。
トラック諸島は、第一時世界大戦の終了時にドイツから賠償として日本に委譲され、信託統治していた時代がある。この時には日本帝国海軍の基地があり、戦艦大和や武蔵が錨泊していたこともある。山本五十六海軍大将はここで登山などをしたこともあるらしい。昭和19年2月、日本軍はアメリカ軍の空襲を察知し、主要艦船は空襲前にトラックを離れたが、出遅れた輸送船、タンカー、貨客船、軽巡洋艦、駆逐艦などが500機以上の艦載機の攻撃を受け、40隻以上の艦船が沈没した。現在では、沈船スポットのメッカとして、世界中からレックダイビングの愛好者が集まってきている。
環礁の周囲は約200kmあり、円形のものでは世界最大と言われる。大きな島は11あり、空港のある島はモエン島(春島)という島で、最も大きい。ホテルなどもすべてこの島に集中している。
トラック諸島は、現在では他のミクロネシアの島々(ヤップ、ポナペ等)と共に、ミクロネシア連邦を形成している。チューク(Chuuk)という名前は、もともと現地の人が呼んでいた島の名前で、現在ではこちらも多く使われるようになってきた。正式名称もミクロネシア連邦チューク州である。


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